僕が毎月決まって撮影する被写体はオーディオ機器、録音機器です。
それ以外は、人物や写真撮影用品や写真講座用の作例も写しています。
製品の撮影は物撮り(ブツドリ)と業界用語で言われています。
工業製品などを正確にだったり、より美しくだったり
より高級に見えるように撮影します。
製品の素材は様々ですが、僕の場合は金属、木材、ガラス、アクリル、ゴムが
ほとんどで、透明なものやピカピカに磨かれたもの、鏡面や曲面もあります。
また困ったことに自ら発光する製品が多いのも特徴です。
撮影手順ですが、
・撮影製品リストを検討し、背景や大まかに照明を準備します。
・クライアントの要望に沿って製品を置いて、見る位置(アングル)を決めます。
(30キロ以上の重量物は移動もキツイです)
・カメラを設置します。レンズはPCニッコール85mmがほとんどです。
(三脚、リモートコード、ストロボ用の無線トリガーも使います)
・手袋をしてマイクロクロスや薬品で製品をクリーニングします。
・ツマミやボタンの位置を合わせます。
・電源を入れて、必要ならほかの機器とつないで実際の動作状態にします。
(この作業がデジタル機器だとうまくゆかない場合も多々あります。
時間もかかります)
・効果的な照明(ライティング)を作ってゆきます。大体ストロボを3灯使います。
・光を拡散したり、細く絞ったり、被写体の反射を除去したり光沢部には映り込みを作ります。白や黒のハレパネを大小何枚も使います。
・テスト撮影します。ここで露出と3灯の光量のバランス、レフの位置も調整します。
・大体できたらクライアントにチェックしてもらいます。フィルム時代はポラロイドを撮影して確認してもらいました。
・OKが出たら、部屋を暗くしてミラーアップして落ち着いて撮影開始です。
・どうしても決めたライティングで、製品のすべての部分がうまく写せない場合は、部分合成用のカットをセッティングなど変更して写します。カメラは絶対動かしてはいけません。
・露出は後で調整しやすいように、暗めや明るめのカットも写します。
・撮影中に細かいゴミが製品につくので、たびたびブロワーで飛ばします。
・小さな製品ではすべての部分がシャープに写るように、深度合成のためフォーカスを移動させて10枚以上撮影することもあります。
・仕上りのイメージと帰宅後の画像処理の能率を考えて撮影を組み立ててゆきます。
・製品は高価なものも多く、試作品もあるため取り扱いは丁寧にしないといけません。
こんな感じで進めています。
画像がないとわかりづらいですね。
使う機材は車に積んでゆきますが、たぶん100キロ近い重さになります。
搬入と設営で60~90分。
1製品の撮影が30~90分、バラシと撤収が30~45分です。
このような仕事がアマチュア写真家の方々にはまったく縁のない、「物撮り」という作業です。暗い部屋での一人の作業です。食事はしないことがほとんどで、3~9時間一度も椅子に座らないことが多いのが現実です。
でも帰宅すれば数時間以上のパソコン作業が待っていますけど。
椅子に座りっぱなし。(笑)
イメージカットという撮影があります。
製品を正確に写すのではなく、特徴的な部分をかっこよく見せます。
構図も大胆でもよいし、色再現も正確じゃなくても良かったり、照明も陰影をつけたり自由度は高く、比較的楽しめる撮影です。
僕がやっている製品撮影は、各部がしっかり見える事、素材感が伝わること、色再現が正しいこと、何よりも高級で価値が高い製品であるように見せる事なのです。
モデルさん撮影やライブ撮影や美しい風景や植物の撮影、スポーツ競技の撮影のように興奮しませんし、勢いも不要です。
このような地味地味なジャンルで生きている写真家がいることも、少しわかっていただければ幸いです。
そういえば撮影料ですが下がりっぱなしです。
フィルム時代を100とするとデジタル写真になって30くらいでしょうか。
そのうえパソコンでの画像処理という作業が増えました。
フィルムの頃は写してしまえば現像所に処理をお願いするだけです。
フィルム代と現像料が請求できました。
レンタルスタジオを使って(1日10万円くらいかかります)の撮影もよくやりました。スタジオはアシスタントさんがいるし、機材もそろっていて快適に撮影ができます。そんな費用ですが、今は認めてもらえず会議室などでの撮影がほとんどです。天井が低いのは本当に困ります。
カメラも5~10年現役で使えました。
デジタルカメラは5年がいいところでしょう。
カメラの価格が高くなり、パソコンもハードとソフトに投資しないといけません。
職業写真家は大幅に収入が減り支出が増えて、大幅に増えたのは作業時間です。
時間当たり東京都の最低賃金以下になってしまう仕事もあります。
カメラマンが昔に比べたら人気稼業じゃなくなったのもうなずけます。
でも僕はこの仕事を死ぬまで続けます。
天職です。
ということで、写真撮影の必要がありましたらお声がけください。
予算応談可、丁寧な作業を心がけております。
kawakame☆vinet.or.jp (☆を@に変えて下さい)